紫陽花

3/6
前へ
/12ページ
次へ
女は考えるコトなく、二つ返事を返した。 近くのコンビニに寄り、ナポリタンと黒ウーロン茶を二つづつ買った。 今日も雨が降っていたが、傘を共有せずに部屋に向かう。 静かに雨が地面を濡らしていたが、 ボロいマンションに着く頃には直にやみそうな程に弱まっていた。 先を歩いていた俺の横に、いつの間にか女が居ないことに気付く。 女はマンションの入り口で立ち止まっていた。 傘が雨を弾く音が微かに聞こえる。 どうかしたのかと思い、近付くと女は入り口の近くの花壇の紫陽花を見つめていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加