8月15日 一章~四章・ 外伝

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8月15日 三章(B級戦犯者の記録二日目) この牢獄はもとはどんな建物だったのだろう 入りくんだ地下牢のある古い監獄のようにも思われ 急ごしらえの簡素な収容所のようにも思われる その牢獄に一頭の馬が繋がれている それは漆黒の日本の馬だ 今朝から馬は狂ったように暴れている どんなに中国人が殴り続け蹴りあげても 馬は暴れるのをやめない 血を吐き唾を吐き 濛々と熱い息を吐き 喚き暴れ続けている 狭い、狭い、牢獄のなかで 馬は暴れ続ける その黒毛のために用意された B級戦犯という焼き印に 若い馬は心頭怒りにふるえあがって 暗い牢獄のなかで 一頭の漆黒の馬が 中国とアメリカを相手に 戦争を続けていた 首を繋がれ足を縛られたまま 血を吐き、唾吐き 濛々と熱い息を吐き 仲間と走り続けた あの日のいななきを 見えない太陽に響かせて (続く)
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