2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、君!この電車に乗ってきたのか!?」
「う・・・・・・うん。」
勢いに押されながらも私はコクコクと頷きながら、ポソリと小さな声で答える。
すると、ホームからジリジリジリジリジリジリジリ!と物凄い音がし始めた。
「マズイ!降りて、早く!」
「えっ?」
ぼんやりとして動かない私を見兼ねたのか、彼は焦ったような表情で電車の中へと入って来て私の腕を掴むと、強引に腕を引いて電車から出ようとした。
彼に引っ張られてホームへ降りる瞬間、どうして電車の中に居ちゃいけないのかわからなくて、チラリと車内を振り返ると、車内から無数の白い手がこちらに向かって伸びてきた。
「ひっ!」
あまりの怖さに悲鳴が漏れる。
白い手は電車の壁や天井、床から幾つも伸びてきていた。
ホームへ出てもその手はぐんぐんとこちらへ伸びてくる。
「走れ!」
彼は私の腕を力強く引っ張って走った。
最初のコメントを投稿しよう!