始まりの日

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「廊下に出席番号順に並んでください」 彼はそれだけ言うと先に廊下に出た。 続いて生徒たちがぞろぞろと教室を出ていく。 私と祐ちゃんもクラス表を見直しながら、流れに抗うことなくそれに続いた。 番号順に並んでみると祐ちゃんは一つ前、つまり座席と変わりなかった。 「これって運命?」 満面の笑みで彼はそう言う。 ま、眩しい。 ここはそうだねと言っておくべきだろうか。 その方がいい印象を与えることができそうだ。 でも冗談なのに真面目に答えたら引かれるかもしれない。 ああ、人づきあいって難しい。 「いや、偶然でしょ」 結局私は可愛げもなく、困ったようにそう答えたのだった。
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