始まりの日

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「ねえ、校長先生髪薄くない?」 「あ、それ私も思った」 「でも教頭先生意外と若い」 「渾身の若作りだったりして」 近くに座っている生徒達から聞こえてくる声を子守唄にして、私は早速うとうとし始めた。 絶対に小説を読んで夜更かししていたせいだ。 読書を楽しむ私は悪くない。 夏目漱石も、勿論悪くない。 では一体誰が悪かったのか。 『明日は午前中で終わるから夜更かししてもいいや』なんてことを考えた午前零時の私だ。 なんだ、結局私か。 そう結論づけた時、隣の生徒が肘で突いてきた。 茶髪の活発そうな女子だった。
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