1514人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
「須藤さん」
放課後、図書室に寄った帰りに廊下を歩いていたところを、担任の森山先生に呼び止められた。
「はい?」
「この前の委員会会議の報告書、出来てる?」
「……え……報告書?」
なんのことか分からず、首をかしげた。
「あれ?神谷くんから聞いてない?会議の報告書を今日までに提出するように言ってたんだけど」
この前の美化委員の会議のこと?何も言ってなかったけど……。
「そっか、神谷くんはもう部活中かな」
森山先生は唇をとがらせた。
森山先生は、窓の外をチラリと見てから、私の方に視線をうつした。
「須藤さんはまだ部活は?復帰しないの?」
ドキリとした。
「……はい、まだちょっと……傷の具合が良くならなくて」
「そっか。……早く復帰できるといいね」
私は、はい、と返事した。
また、嘘をついてしまった……。
「じゃ、帰りに神谷くん見かけたら、報告書提出するよう言っといてくれる?」
「はい。……神谷くんって何部でしたっけ?」
「陸上部よ」
森山先生は、さようなら、と手を振って廊下を早足で歩いていった。
最初のコメントを投稿しよう!