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「須藤さん」 放課後、図書室に寄った帰りに廊下を歩いていたところを、担任の森山先生に呼び止められた。 「はい?」 「この前の委員会会議の報告書、出来てる?」 「……え……報告書?」 なんのことか分からず、首をかしげた。 「あれ?神谷くんから聞いてない?会議の報告書を今日までに提出するように言ってたんだけど」 この前の美化委員の会議のこと?何も言ってなかったけど……。 「そっか、神谷くんはもう部活中かな」 森山先生は唇をとがらせた。 森山先生は、窓の外をチラリと見てから、私の方に視線をうつした。 「須藤さんはまだ部活は?復帰しないの?」 ドキリとした。 「……はい、まだちょっと……傷の具合が良くならなくて」 「そっか。……早く復帰できるといいね」 私は、はい、と返事した。 また、嘘をついてしまった……。 「じゃ、帰りに神谷くん見かけたら、報告書提出するよう言っといてくれる?」 「はい。……神谷くんって何部でしたっけ?」 「陸上部よ」 森山先生は、さようなら、と手を振って廊下を早足で歩いていった。
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