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私はそのまま、指をすーっと移動させた。 肩甲骨のくぼみに触れる。 筋肉の上をなぞるようにシャツの上から神谷くんに触れる。 ゾクッと、甘い感覚が身体に走る。 てんとう虫の動く先に指先を移動させ、その指先にてんとう虫を捕らえた。 神谷くんの背中から指をはなし、彼の目の前に指を差し出す。 「……ほんとだ。てんとう虫」 神谷くんが小さく呟いた。 そして、私の指先に、自分の右手の人差し指の先をチョン、と付けた。 てんとう虫が神谷くんの指先に移動する。 神谷くんは立ち上がり、指先にフッと息を吹き掛けた。 指先からてんとう虫が飛び立った。
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