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神谷くんと顔を合わせるのが気まずくて、今朝はいつもより遅く教室に入った。
神谷くんはすでに席につき、いつものように机に突っ伏している。
昨日の、白いシャツの背中を思い出して、顔が熱くなる。
……どう思っただろう。
そんなに、長い時間触ってなかったよね。てんとう虫を捕ろうとしていたんだし。いや、でも変に思っただろうか……。
私は自分の席に座ろうと、椅子を引いた。
ギギツという音に反応し、神谷くんが体を起こした。
ゆっくり後ろを振り返る。
目が合った。
「お、おはよう!」
思わず力をこめて挨拶してしまった。
「……おはよう」
神谷くんは、銀縁の眼鏡の鼻のところをくいっと人差し指であげて、そう答えてくれた。
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