おれの伝説～ﾋﾞｷﾞﾝｽﾞ～

い

おれはやがて大学生になった。
髪を染め、タバコをふかし、ヒップホップに頭脳が侵された恰好をした。
初めてのコンパも4回目とうそぶいた。
初体験も中二の時と言いふらし、親から多めにもらった教科書代で風俗に行った。
酒は中三の時から晩酌をしてたと意気がり、苦くて苦手なビールを我慢して飲み、カルアミルクやファジーネーブルを注文するやつらを罵った。そして内心羨んだ。
ファッションはeggに何回か街角写真を撮られたと、聞かれてもいないのに話した。SHIPSやBEAMSを着る輩を罵った。
高校時代は架空のチームの幹部だったことにして、クローズを教科書にして言葉遣いを変えた。もちろん、バイクは無免で乗り回していたことにした。アメリカンバイク以外を認めず、ネイキッドを罵った。
こうして、新たな自分を作り上げたんだが、最終的に手元に残ったのはパチンカーという不名誉な称号だけだったのは言うまでもない。