同期のオレサマと憧れのキミ

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  「……では、失礼いたしました」 その声に合わせて頭を下げて、会議室を出る。 無事にプレゼンを終えた私たちは、うちの会社より随分広い廊下を、並んで静かに歩いていた。 しばらくして、私の前を歩いていた男性が振り向き、ニッと笑った。 「……これは、取れたかもな」 その言葉に、ホッと場の空気が緩んだのがわかった。 声の主……ディレクターの佐川(さがわ)さんのプレゼンに関する勘は、かなり鋭いから。 「佐川さんがそう言うなら、カタいね」 そう言ったのは佐川さんの隣に並んでいた男性。 コピーライターの嶋田(しまだ)さんだ。 「自分だって強気な顔してたじゃないか」 「ま、そりゃ自信なかったら出しませんからね、俺は」 「まったく、相変わらずの自信家だな、お前は」 やれやれ、といったように微笑む佐川さん。 そのやりとりが微笑ましくて、思わず笑ってしまう。  
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