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いきなりだけど
どういうわけか
「君今日から僕のお友達だから!だから遊べ!じゃないと冷凍しちゃうんだから!」
いきなり脅された。
初対面と言う訳ではないけど
まぁ、正直言うと前から可愛い子だとは思っては居たものの
話したことのない
同じ部活の問題児と言われている後輩
氷輪れれ、に。
それもただの"不良"とかじゃなくて"能力者"。
他にもそういう能力とか言う非現実的な噂をされている奴等は何人も居るけれど
こいつの噂は特に凄かった。
現にこいつの後ろには今、数人の同じ学校の制服を着た人間がぞろぞろと付いてきているのだから。
しかも、恐怖と不安を感じさせる表情で。
細身で喧嘩が強そうにも見えないし容姿なんてまるで女の子。
全く恐怖なんて感じない外見。
だけど、後ろの奴等はまるで悪魔にでも捕まったかのような顔をしている。
「なんか言え!言うこときかないと、こうだよっ!」
無言でただ突っ立っていただけの俺に
痺れを切らしたかのように言い
近くにあった電柱を指差した。
その瞬間、電柱はあっという間に氷の柱と化した。
「俺が遊ばなくても他に要るでしょ」
わざと冷たい事を言ってみた。
「煩い」
と言って怒るその目は寂しそうで
ある確信に繋がった。
……そう
結局この子は可哀想な子なんだ。
力があるから怖がられ、避けられる。
仲間を能力で脅して作る。
結果、もっと怖がられる。
無限ループというか、自分で首を締め続けている。
それに全く気付いてない。
自分が寂しい理由も分かっていない、能力が氷だけに自分の心まで知らないうちに凍らせてしまった可哀想な子。
「はい、よしよし」
頭を撫でてやると「やめろ」と口では言っているものの払い除けたりしなかった。
ただ、戸惑っているだけ。
そんな仕草はただの可愛い年下。
頭を撫でながらこいつの後ろに居た奴等に帰れと目で合図を送った。
それを理解するなり安堵した表情を浮かべ
さっさと逃げ出していった。
別に助けたなんて思ってない。
ただ、こんな奴等と居たってこいつは傷付くだけだと思ったから。
「お前は小さくて可愛いな」
「バカにしないで!背、ちゃんと平均あるんだから!」
そういってそっぽを向いた瞬間、氷輪は驚いたような表情を見せたから
それを聞かれる前に答えた。
「アイツらなら皆帰ったぞ」
「何で!僕まだ帰って良いって言ってないのに…!」
「あぁ、俺が言った」
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