姉ちゃんの頼み事

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母さんが死んでからは 父さんが男手一つで姉さんと俺を育ててくれた。 とても裕福と言える生活じゃなかったけど、 いつでも明るい父さんと優しい姉ちゃんと一緒なら 毎日が幸せに感じられた。 でも、俺が中学の頃に父さんは 俺達を残して母さんの所へ行ってしまった。 死因は事故死。 仕事の帰りに酔っぱらいの車に…… いつもは俺達のために早く帰ってきてたけど この日は珍しく仕事が忙しくて残業だったらしい。 そしてその帰りに…… 父さんが死んでからは 俺は部屋に引きこもるようになった。 幸いにも生活の方は父さんが残してくれた遺産もあったし 姉さんも既に高校を卒業して働いていたのでどうにかなっていた。 引きこもりだった頃の俺は 姉ちゃんとの接触すら拒んでいた。 姉ちゃんも俺の気持ちを考えてくれて 無理に外へ出そうとはしなかった。 それから半年、父さんのことに踏ん切りがついてからは 俺はやっと学校に行くようになった。 姉ちゃんに学校に行くって 伝えた時の笑顔は今でも忘れられない。 自分のことのように本当に喜んでくれた。 半年間何も言わず優しくしてくれた姉ちゃん。 この事があって俺は姉ちゃんには頭が上がらない。
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