眼を覚ましたら、知らない場所だったってのはよくあることだ

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 ◆ またまた時及び場所が変わり、時は二時間後、場所は宴会用の大広間にて、盛大な宴が執り行われている最中だ。 「テ~ルミ~ン、楽しんでる~?」 大広間の上座近くにいる幽々子殿――結局代わるあだ名は思いつかなかった――が先程よりもさらに間延びした調子で話しかけてきた……もとい肩に手を掛けながら絡んできた。顔の紅潮度合いから見てもう出来上がっているのは言うまでもないだろう。 ちなみに私は幽々子殿の左隣に位置していて、右隣には妖夢が座っている。要するに私が上座でそれを二人が挟むように座っているのだ。 「あぁ、こんなに楽しい宴は久しぶりだよ」 「その割には~、ぜ~んぜん楽しそうに見えないけどね~」 酒の入った猪口をグイッと飲み干した後に思ったままの言葉を口にするも、すぐに否定されてしまった。 「注ぎましょうか?」 「頼む。すまないな、あんまりそういう感情は表に出ない性質でね、こんなでも楽しんでいるつもりなんだ」 「そっか~。楽しんでもらえてるみたいで何よりだわ~」 妖夢に酒を注いでもらいつつも幽々子殿に釈明を図る。難儀な性質を持ったものだ。 「ところで妖夢、ここに案内されてからずっと聞きたかったことがあるんだが」 「はい、なんでしょう?」 私が楽しんでいることを知って安心したのか、あまり手を付けていなかった料理を食べ始めた幽々子殿を尻目に、私は妖夢に尋ねる。 「なぜ、私達以外はみんな人魂なんだ?」 なにもこの宴は私と幽々子殿と妖夢の三人だけで行われていた訳ではない。白玉楼に住まう霊……目の前にずらりと並ぶ料理が盛られた膳の数からして二百は超えるであろう住人が一斉に集い、飲めや騒げやの大宴会が繰り広げられている。 それだけなら何も問題はない。問題――というより疑問は彼らの容姿だ。 彼らは誰一人として人の姿を保っていないのだ。人魂そのものが酒を飲み、料理を食い、歌を歌い……そんなとても信じられないような現象が目の前で起きている。
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