17話

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通報があった場所に着いた私たち しかしそこには攘夷志士が暴れた形跡などなく、静まり返っていた 勿論、小太郎の姿もなかった 「土方さん、本当にここなんですか?」 「間違いねぇ…はずだが」 他の隊士もこの状況に戸惑っている 情報も間違っている感じではない 「…イタズラ?」 そう言葉にした瞬間、背後から足音が聞こえた 皆が一斉に振り替えると、そこには今回の騒動の主犯と思われる桂小太郎が立っていた 「桂小太郎だな、さっさとお縄につきやがれ」 1人の隊士がそう問いかけると小太郎はニヤリと笑った 「今だ!」 急に小太郎はそう叫んだ その言葉で身構えた私たち ドォォォォォン…―― 近くにあるビルの屋上から大きな音が聞こえた そこに目をやると、白い謎の生き物が何かを打ち上げていた 「花火…?」 しかもそれはただの花火ではなかった その花火には「誕生日おめでとう」とかかれていた 「椿ー!今日はお前の誕生日だからな!盛大に祝ってやろうと思ってな!」 「…………え?」 「どーうだ!素敵なサプライズだろ!ハーハハハッ!」 とりあえず走って勢いをつけて小太郎に飛び蹴りをくらわしてやった 「なっ!?何をする椿!俺はお前の誕生日を祝おうと!」 「誕生日は今日じゃねぇ!」 「なんだと!?今日は2月14日だぞ!?」 「日にちの感覚自体が間違ってるから!今日は13日、てか桂小太郎逮捕」 「ま、待て待て椿!話せばわかる!」 「うるせぇ!打ち首だ馬鹿野郎がぁぁぁあ!」 「誕生日を間違ったのがそんなにダメだったのか!?それなら謝る!だから、ちょっ、刀をおろせ!」 「土方さん、こいつの頭と体別けちゃっていいですかー?」 小太郎はいままでにないほど暴れている 他の隊士は周りに別の攘夷志士がいないか捜索している 土方さんは車の扉を開け、「打ち首はやめろ」と目で訴えつつ早く車に乗せろとの指示 まぁ土方さんがそう言うのなら仕方がない 「命拾いしたな小太郎、はい早よう車に乗りんしゃい!」 「つ、椿!」 「まだ何か「誕生日おめでとう」 小太郎が車に乗る前に一言私に告げた 小太郎を乗せた車が走り出した後、なんとなく私は嬉しい気持ちになった 「ありがとう、小太郎」 でも私の13日の半分を潰したことは許さないがな
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