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2月13日
バレンタイン前日です
しかし絶対手作りチョコレートなんか作れない
何故かって?
攘夷志士が暴れてると通報があったからです
筆頭は桂小太郎らしい
「小太郎首切り決定だなこれは」
この通報があってから不機嫌な私
他の隊士が全く寄ってこない
完全に怒りが抑えられていない
あー小太郎切腹しろ
一人でイライラしつつ玄関で待機していたら土方さんが横に来た
「おい夏目、準備できたか」
「とっくに出来てます、あー小太郎切腹しろ」
「…すげぇ怖い顔してんぞ」
「そりゃそうですよ土方さん、今日の私は予定がぎっしりだったんです。なのに攘夷志士が暴れてる?全員私が殺る」
「とりあえず落ち着け、他の隊士がびびってんぞ」
「そんなの私にはなんてことな……い…」
「………?」
私は土方さんとの会話を止めた
いや無視したとかそういう嫌がらせではなく
今、なんとなくだけど
絶対いるはずないけど
「……すけ…」
「夏目?」
私は気になって目線の方向に走り出した
後ろから土方さんが私を呼ぶ声が聞こえたけれど、私の意識は目線の先にしかなかった
走って追いかけたけど、すでにその姿はなかった
やはり見間違いだったのだろうか
「…晋助……?」
そう呟くと後ろから肩を叩かれた
土方さんだ
私の後を追いかけて来ていたらしい
「急に走るな、何かあったのか」
「…いえ、可愛い猫ちゃんがいたので追いかけたんですが逃げられちゃいました」
「はぁ?これから仕事だ、わけわからねぇことしてないで行くぞ」
「すみません、あまりに可愛かったのでぐへっ」
「気持ち悪ぃ笑いかたするな」
「いやいやすみませんー」
「いいから行くぞ」
「はーい」
そういって私たち屯所の玄関先に止まっていた車に乗り込んだ
あれは本当に晋助だったのだろうか
本当にそうならあの頭に巻いてあった白いものはきっと包帯
あれは私が守りきれなかった左目
(私のせいだ…)
あれが晋助でもそうでなくても、彼は私の顔なんて見たくないだろう
車の中でずっとそのことばかりを考えていた
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