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「皆さん、落ち着いてください
これでは話が進みませんよ?」
「山南さん…」
こう言うのを鶴の一声と呼ぶのだろう
山南と呼ばれた一見優しい印象を抱かせる穏やかそうな男の人はこの空気を一変させた
「では改めてお前、雨宮とか言ったか。雨宮、お前を屯所に置く。話は以上だ」
「…分かりました。」
沢山訊ねたいことがあったけど彼らに従うと先程決めたから何も聞かなかった
「いや〓流石は山南くん。助かったよ」
近藤局長は朗らかに微笑みながらハッハと軽快に笑った
なんだかその様子が可笑しくて思わず笑ってしまった
「ふふっ…
あ‥すみません」
「何故謝る?」
「え‥?」
「そうだとも。女子は笑ってこそ、だよ」
「近藤局長…」
「その局長と呼ばれるのはどうも苦手でね。普通に呼んでくれると嬉しいのだが…」
ポリポリと頬を掻きながらどこか照れくさそうに笑う局長にまた笑みがこぼれた
「はい…じゃあ近藤さんと呼ばせて下さい。改めてこれからお世話になります雨宮澪です。よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしく頼むよ。こちらの都合を押し付けてしまってすまないね」
「いえ、言えない事情があるのは仕方のないことだと思います。私もすみませんでした…混乱してたもので取り乱したりしてごめんなさい‥」
近藤さんと副長さんを真っ直ぐに見つめ、謝った
「いや、それはこちらも同じだ」
「トシ…」
「ひ、土方さんが認めた!?明日嵐でもくんじゃね?」
「何だと!?平助もっぺん言ってみろ!」
「まあでも珍しいよな土方さんが認めるなんざ」
「だよなぁ…」
「新八!!原田うるせえぞ!!」
突然賑やかになった雰囲気に気後れしていると後ろから肩を叩かれた
「いつもこんななんだ。すまないね」
「近藤さん…すごく賑やかで楽しそうで羨ましいです」
振り返ると苦笑いを浮かべた近藤さんが困ったようなそれでも慈しむような笑みを浮かべていた
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