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急ぎ足で玄関に入り、ほっと一息ついているとリビングからお兄ちゃんが顔をひょこり現した
「おかえり澪。ココア淹れてるから早くおいで」
「ありがと 閏兄ちゃん!」
パタパタと足音を鳴らしながらリビングへ入るとココアの甘い香りが鼻を擽った
早速ココアを飲もうと手を伸ばし、マグカップを取ろうとするとココアが視界から外れた
「お前よく毎日毎日こんな甘いもん飲めるよな。太るぞ?」
「竜兄ちゃん!返してよ」
私のココアは竜兄ちゃんが持っているのだ
竜兄ちゃんは閏兄ちゃんと双子の兄弟
なのに性格は真逆で竜兄ちゃんはとっても意地悪
いつも私のココアを取り上げる鬼のような兄なのだ
「こら 竜。返してあげなよ
澪が可哀想だろ」
「ふん‥」
見かねた閏兄ちゃんが助け船をだしてくれるも竜兄ちゃんは鼻で笑うだけだった
‥仕方ない。いつものアレ使お
「竜兄ちゃん‥澪のココア返して…?」
いつものアレとは‥、長身な竜兄ちゃんを涙目で見つめ、甘えた口調で話すというものだ
これを使うと竜兄ちゃんは素直に返してくれる
「これがあの氷の王子と呼ばれる医者の姿には見えないね。
氷の王子がまさかのシスコンだなんて」
「うるせぇ」
なんて会話がココアを返してもらった私には聞こえず、幸せ気分でココアを飲んだ
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