第1章「観用人間」

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つまり、人型をした植物なのである。 通常だったら、空を覆うほどの巨大な風貌だが、何らかの理由で、二メートル前後まで縮んでいた。 また、動きやすさを実現するために、手や足の代わりになるものが生えてきた。 知覚を最大限に生かせるように、目、鼻、口、耳にあたる器官が発達した。 まるで、植物を擬人化したかのような形に進化した植物は、人間と同じような経済活動を展開していた。 第三次世界大戦で人間が犯した罪。 プロリックガスにより、自らの時代に幕を下ろした人間たちは、主役の座をそっくりそのまま植物に渡すことになったのだ。
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