第1章「観用人間」

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コンクリートが剥き出しになっているビルの一角に「カンパニー・リベンジ」というプレートが貼られていた。 一昔前までは、新進気鋭のアーティストがデザインした建物だということで、雑誌やテレビで賑わいをみせたが、それは過去の栄光と言わんばかりに佇んでいた。 それは、時代の流れにより、はやりが変わったからではない。 この建物に脚光が浴びせられていた十年前と今は決定的な違いがあるためだった。 その答えは建物の中にあった。 ビルの一階。 長い廊下を歩いて行った突き当たり。 そこはごくありふれたオフィスだ。
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