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「───あの、」
などといろいろ考えていると、不意に声をかけられた。
俺は呆けた顔をしながら顔をして声がする方をみた。
すると、そこには申し訳なさそうな顔をしながらこちらをみている少女がいた。
「はい?」
俺は疑問系で返事をした。
少女はそんな俺に鞄をキュッと抱いて更に申し訳なさそうに口を開いた。
「あの・・・、もしかして今日このマンションに引っ越してくる方ですか?」
自信の無さからだろう。
チラチラと自信がなさそうにこちらの表情をうかがいながら少女は俺の返答を待った。
その仕草がマンガの中の少女みたく非常に可愛かった。
───って、何を考えてるんだか。
俺は頭を掻きながらため息をついた。
「あっ!やっぱり勘違いでしたか?」
「ん?あっ・・・!そういう意味じゃないですよ」
まあ確かに今の行動じゃそう思って当たり前か。
そりゃ申し訳ないことをした。
徐々に小さく萎縮していく少女に対し、俺はできる限り柔らかい笑顔で言った。
「そうですよ」
たった一言ならさっさと言えよ、って絶対に言われるよな。
そんな一言だが少女はパッと表情を明るくした。
「よかった!私、隣の部屋に住んでます。伊東君江です」
ペコリと頭を下げる少女につられ、俺も頭を下げる。
「お隣さんだとは知らず・・・えっと、俺仲村海斗って言います」
咄嗟のお辞儀からのいきなり自己紹介。
我ながらひでーな。
おそらく第一印象最悪だろうな。
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