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「「ゆびきりげんまん嘘ついたら針千本のーます!ゆびきった!!」」
小さな少年と少女は小指を結び、約束をした。
その約束の重さを知らないような笑顔で笑う少年は結んだ小指を離さなかった。
夕日を背中に、それと同じように赤く頬を染めた少女は恥ずかしそうにその指を見ていた。
誰もいない公園は不思議なくらい静かだった。
5時を過ぎ、他の人はみんな帰った。
お母さんと一緒に。
当たり前のように手を引かれ、ばいばい、また明日ね、と言って帰って行く。
みんなとばいばいしたら、いつの間にか2人だけになっていた。
あんなにうるさかったひぐらしやカラスさえもみんなと一緒に帰ったのか、静かだった。
まるでこの世界には少年と少女の2人しかいないかのような静けさだった。
少女はそんな世界で少年の笑顔を見ながらただ笑った。
その笑顔は恥ずかしさを、それとも寂しさを、純粋に気まずさを意味意味していたのかもしれない。
「でもさ、私はさ───」
だが、その時の少年は幼くて、ただ約束のことしか考えていなかった。
だから少女の笑顔や言葉の意味なんてわからなかった。
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