海沿いの街

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いつの話だっけ? まだ俺が小さい頃、小学校に入った最初の年のことだ。 あの日も今みたく凄く暑い日だった。 だから夕日を受けた彼女は暑がって顔が赤いのかと思ったんだ。 「───斗・・・」 不思議だ。 あれから10年もするのに今更夢に出てくるなんて。 この10年間全く考えていなかったのに。 もちろん最初の頃はそのことだけで頭がいっぱいだった。 でも、年が経つにつれ・・・ 、小学校を卒業する頃には忘れた。 そこから思い出そうともしなかったし、考えたこともなかった。 ただ、海を見るとふと頭をよぎるだけ。 「───海斗」 あぁ、暑いな。 あの日もあんな暑かったのによく公園なんて行ったな。 そこで彼女と会って、いつものように遊んだ。 走れない彼女に合わせて2人だけで。 そこで約束したんだっけ。 ・・・あれ? 約束?彼女? ・・・・・・なんだっけ。 確か、えっと・・・・・・ 「海斗!!」 「ッ!?」 大声で呼ばれ、飛び起きた俺は手元にあった何かを握った。 「なんだ!?宇宙人襲来!?俺を連れ去ってもおいしいことなんもないぞ!!」 ぶんっ、と手に持った物を勢いよくふった。 「はは!さすがにトラックの荷台に積んだら頭もゆでダコになるか」 俺を呼び、この騒ぎの張本人は声を上げて笑った。 熱くなった頭で冷静になってみると自分のしたことがいかに恥ずかしいことかわかった。 「はは、顔真っ赤!」 「いやいや、そりゃトラックの荷台に積まれたら暑さでなるだろ・・・」 「本当にそれだけ?」 くすくす笑いながらねーちゃんは俺をみていた。 そんなねーちゃんだったが、いきなり顔を真っ赤にした。 「あっ、ねーちゃん顔真っ赤!なんかあった?」 くすくす笑いながら俺はねーちゃんを笑った。 ささやかな復讐のつもりだった。 きっと俺と同じように暑さを言うんだろうけど。 しかし、ねーちゃんは何も言わず肩を震わすだけ。 ・・・・・・あれ? 怒ってる? 「・・・・・・海斗ぉ、手に持ってるそれは何かな?」 ねーちゃんは明らかに作った笑顔で俺の持っているもの指差した。 「あ」 どうやら先程俺が握ったのはねーちゃんの下着だったらしい。 「ちがっ・・・・・・!」 「!!」 ねーちゃんの無言の右ストレートが俺の顔面に炸裂した。 完
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