海沿いの街

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「───」 昔からそうだった。 俺は大好きなねーちゃんの後ろにくっついているだけ。 小さい頃はそれで満足だったけど、今は嫌だ。 実際まだまだ俺はガキだ。 そんな俺にできることはねーちゃんがくれたものを精一杯生かすこと。 例えば学生としての生活。 事実学校のことを話すとねーちゃんは喜んでくれた。 だから今度は新しい家と高校を楽しむ。 それが結果的に恩返しのような形になるのだろう。 俺は軽く自分の頬を叩いた。 「頑張るぞ!」 なんだか無性に叫びたくなって、海に向かって大声で叫んだ。 その声にビックリしてか、ねーちゃんや引っ越し業者の人はこっちをみた。 「・・・・・・弟さん大丈夫ですか?」 「はい。時々ああして叫ぶんです。・・・ちょっと姉的には心配ですが」 トラックの荷台から荷物を下ろしていた人がねーちゃんに尋ねた。 それに対してねーちゃんは、悲しそうな笑顔でそう言い返した。 「まあ思春期の男の子はあんなもんですよ。どうか優しく見守ってあげてください」 もう一人の男の人は、帽子の鍔を軽くいじりながらそう言った。 言葉が見つからなかったねーちゃんだったが、短くはいと答えた。 ・・・・・・あれ? 俺はいまどういう立ち位置?
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