~Ⅰ~

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新緑が深まる春の息吹きが森の中に漂い始める午後―― 百舌鳥が囀ずり、蜂が蜜を求め、猿が木々の間を飛び交い、白き虎が獲物を求め徘徊する中、一人の青年が錆び付いた大剣を片手に振り回す。 その身の丈は軽く2メートルは超えていよう。 剣を振るうその腕は、まるで大木の枝の如くに太く、まさに鋼の如き肉体を称えていた。 ブワリブワリと音を立てる剣の咆哮に、空間が歪んではそれを繰り返す。 ・
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