━第1話━

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「橘ー、この書類コピーお願い。」 「はい、分かりました。」 先輩から書類を受け取り、 ふと時計に目をやる。 仕事が終わるまであと15分。 早く帰って部屋片付けなきゃ。 あとダンボール3つだっけ。 そんなことを考えながらコピーをとり終わった。 「先輩。これ、置いときますね。」 「あ、さんきゅ。てか橘、一人暮らし始めたんだって?」 「あ、はい。もう二十歳だし、そろそろしっかりしないと。」 「…大丈夫なの?」 「何がです?」 「いや、おまえどんくさいし。一人暮らしとか危なそうじゃん?」 どんくさいって。 さらっと言い過ぎでしょ。 「大丈夫ですー。」 わたしは先輩を睨むようにしてそう答え、自分の机に向かった。 高校を卒業してからこの仕事に就いて2年。仕事にも慣れ二十歳を迎えた私は実家を離れ一人暮らしを始めた。 …と言ってもまだ4日。
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