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電話を切り、奈々の家へと足を速めた。
一旦帰って着替えてくればよかったと少し後悔しながら街を歩く。
まだ見慣れない街は人と灯りで、にぎわっていた。
青信号が点滅し始め赤色へと変わると同時に足を止めた。
「何してんの?ひとり?」
…え、わたし?と思いながらチラチラ見ていると、
「え、わたし?とか思ってる?
君に話しかけてんの。」
「なんですか。」
思っていたことを、さらりと当てられてしまったことの恥ずかしさと、馴れ馴れしく声をかけてくる男に冷ややかな目を向け言った。
「いや、可愛いから声かけた。」
「そうですか。」
冷たく言い放って
信号が青に変わったのを確認し、歩き始めると男も私の隣を歩き始めた。
「で?どこいくの?」
「…………」
「どこいくの?」
私は男を睨んで足を速めようとした。
「ちょっと…無視すんなって。」
私の手はその男に捕まれていた。
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