━第1話━

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電話を切り、奈々の家へと足を速めた。 一旦帰って着替えてくればよかったと少し後悔しながら街を歩く。 まだ見慣れない街は人と灯りで、にぎわっていた。 青信号が点滅し始め赤色へと変わると同時に足を止めた。 「何してんの?ひとり?」 …え、わたし?と思いながらチラチラ見ていると、 「え、わたし?とか思ってる? 君に話しかけてんの。」 「なんですか。」 思っていたことを、さらりと当てられてしまったことの恥ずかしさと、馴れ馴れしく声をかけてくる男に冷ややかな目を向け言った。 「いや、可愛いから声かけた。」 「そうですか。」 冷たく言い放って 信号が青に変わったのを確認し、歩き始めると男も私の隣を歩き始めた。 「で?どこいくの?」 「…………」 「どこいくの?」 私は男を睨んで足を速めようとした。 「ちょっと…無視すんなって。」 私の手はその男に捕まれていた。
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