5.どんなあなたでも

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 一番大切な言葉を言って、拒否されるのが怖い。  大切だから、いらないと言われたらどうすればいいのかと恐怖で喉が引きつる。 (早く、言わないと)  気ばかりが急いて、それがまた言葉を紡ぐのを邪魔する。  早く早くと思うけれど、大切な言葉だからこそ簡単には言えない。 「春花……?」  待ってくれている里桜が促すように名前を呼んでくれる。  おそらく、これが最後のチャンス。 「あ……」  それでも出てこない言葉に春花は泣きたくなってきた。  その時、風が吹き葉桜がさわさわと囁くように揺れる。  その囁きに数週間前のこの場所を思い起こした。 (相良くんもこうだったのかな?)  自分に告白してくれたとき、こんな風に怖かったんだろうか。  そこに思い当たった。  里桜は告白を断られても宣戦布告だと言って諦めなかった。  そうだ、諦めなかったのだ。 (そっか……断られたからって、絶対に諦めなきゃいけないわけじゃないんだ)  数週間前の里桜に背中を押してもらえたような気分になる。  葉桜の囁きが、勇気をくれた。 「相良くん、あたしね」  ドキドキと、鼓動が早い。  葉桜に勇気をもらってもまだ少し怖くて、涙目になってしまう。  それでも、伝えた。 「あたし、相良くんが大好きです」
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