1.地味男の本性

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「金澤さん、来てくれてありがとう」  花吹雪の中で相対すると、里桜は(わず)かに微笑みながら礼を言った。 「あ、うん。……それで、話って何かな?」  二人で会っている所を見られて、クラスメートや友達にからかわれるのも嫌なので早々に本題に入る。 「うん、その……こんなにベタなことしてるんだからもう分かってると思うけど……。俺、金澤さんのことが好きなんだ。付き合ってくれないかな?」  めい一杯どもりながら言われると思っていた春花は、意外にもすんなりとされた告白に軽く目を丸めた。 (……なんかイメージ的に、赤くなりながら言葉を詰まらせて言うタイプだと思ってた)  思いの外スムーズに紡がれた言葉に、春花は里桜を少し見直す。  地味ではあるが、中身までダメ男という訳では無いようだ。  だが、見直したからといって好感度が大幅にアップしたわけではない。  友達なら兎も角、恋人になるなんてありえなかった。 「ありがとう、相良くん。でもごめんなさい……」  そこまで言うと、心にズシリと重い物がのしかかってきた様に感じた。  春花にとって里桜は友達ですらなく、ただのクラスメートだ。  “大切な人”の中には入らない。  その程度の相手でも、好意を受け取れないという事が罪悪感に似た感情を生み出した。
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