5.どんなあなたでも

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「春花……?」  春花の突然の変わりように里桜も驚き素が出ている。  素を出してくれたことが嬉しくて胸がぎゅうっとなった。  苦しくて、泣きたくなりながら春花は言葉を(つな)ぐ。 「大嫌いなんて言ってごめんね。あのときは、強引なキスで苦しかったから……気持ちがぐちゃぐちゃになっちゃってたの」  そう、あれは里桜の強引なキスが原因だった。  だが、それを言い訳になどしたくない。 「だからって傷つけるような事言って良い理由にならないよね。だから、本当にごめんなさい」 「俺は、傷ついてなんか……」  否定する声は戸惑いが明らかで、それが嘘だとすぐに分かる。 「ううん、傷つけた。理由までは分からないけど……大嫌いって言葉は、相良くんを傷つけちゃったんだよね……」 「だから、傷ついてなんかねぇよ!」  ムキになって大きな声を上げた里桜は、制服を掴んでいる春花の手も振り払おうとした。  だが、春花は決意と共にしっかりと掴む。 (ちゃんと、伝えるの!) 「嫌いなんて、嘘だから!」 「っ!」 「大嫌いなんて本気で思ってない!」  そこまで叫んで、一度止まる。  続きを言う勇気が、必要だった。
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