5.どんなあなたでも

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「り、おう……くん」  勇気を出して名前で呼んでみる。  流石に呼び捨てまでは出来なかったが、彼は呼んで欲しかったのだと知ったから。 「春花……」  里桜は優しく目を細めつつも。 「くんはいらねぇ」  とハッキリ告げる。  だから春花はもう一度頑張ってみた。  顔は固定されていて、恥ずかしくても目を逸らすことも出来ないが、何とか口を動かす。 「っ……りおうっ」 「良く言えました」  里桜はニッと笑ってそう言うと、優しい口づけを落とした。  甘い痺れに喜びが沸き上がる。 (取り戻せた)  風に乗って、しだれ柳の合唱が聞こえてきた気がした。
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