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あー。もうこれは石原○純を恨むね俺は。
昼過ぎから降り出した雨は今も止むことなく、むしろ強まってさえいる。
当然今日の部活は無しになり、後は帰るだけなのだが。
「カサねー」
あの眉毛を当てにした俺がバカだったのか。それとも雨降るからって教えてくれなかった母さんがいけないのか。まあそんな原因解明は後でいいとして。
「カサねー」
二度目のつぶやき。
しょうがねぇ。コンビニまでひとっ走りしてビニ傘でも買うかってあきらめかけた時だった。俯いてため息をつきながら鞄から折り畳み傘を出す女子生徒。
まさか入れてくれなんて頼めるわけなくため息をつく。顔を上げた女子生徒と目が合う。
「新道君?」
十七夜月さんがどうしたのって顔でこっちを見る。そして俺の手に何もないのに気付いたようで。
「……一緒に入る?」
「っ!?」
首を傾げながら尋ねる彼女を俺は真っすぐに見ることができなくて。
「し、しょうがないから入ってやるよ」
なんて明後日の方を見ながら答えた。
やべぇ……。耳まで赤いの見られちまったかな。
ごめん○純。お前に感謝!
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