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うー。さっきからどきどきする。なんだか息が詰まりそうだよー……。
車道側を歩く新道君。傘はお互い持つってことで譲らず結局二人で持つことになった。ときたま触れる新道君の左手と私の右手。その度に心臓がどきんとはねそうになり、右手が震える。
「大丈夫?ひょっとして寒い?」
「ううん。寒くないよ」
教室に居る時より会話がない。会話を続けさせようとして、私の脳裏にあるフレーズが現れる。
たしか新道君って彼女はいなかったよね?
え? え? なんでそんなこと考えたの私! あ、これはあれよ。と、友達として知っておくべきのことなんだもん。そう、友達として……。
「えー、あれ」
新道君が目を合わせずに言う。
「十七夜月さんってさぁ、か……」
「へ? か?」
「いや、なんでもない」
再び黙り込む私と新道君。
心臓の音はさっきより大きく聞こえる。
なんでこんなにって思って俯いた時、また新道君と右手が触れて思わず顔をあげてしまい、同時に心配そうに私を覗き込む新道君と目が合ってしまった。心の奥がとくんとはねた。
あぁ。そうか。
私は気づいてしまった。知ってしまった。いや、知っていたのだけれどその感情は押し殺していたのかもしれない。
(私、新道君が好きだよ)
この想い。君に届け。
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