メルト

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 あーくそ。だめだ。俺こいつのことどうしようもなく好きだって気づいた。多分こんなチャンス二度とない。頼む。時間よ止まってくれ。もう少しこうしていたい。  もう駅まで距離はない。多分もうこうして会うことも出来ないと思う。近いのに遠い存在になっちまったみたいだよ。  あとほんのわずかでもいい。君と手をつないで帰りたい。そんな希望はダメかな?  結局、駅についてしまった。  くそ。俺のバカ野郎。 「それじゃあ私あっちだから」  傘をたたみながら彼女は言った。 「あ、あぁ」 顔を赤くした彼女は目を合わせようとはせず、そのまま踵を返す。 「あ、あのさぁ!」  俺の声に振り返った彼女は、すごく可愛かった。 「なぁに?」 「……抱きしめていいか?」 「へ……う、うぇ!?」  そんなうろたえる彼女に笑いながら 「なんてな。嘘だよ」  って言ってやった。すると 「っ! ……ばーか!」 って返してきた。 「ははは。んじゃまた明日な」 「う、うん。また明日ね」  去っていく彼女を見送る。  はぁ。  俺の大バカ野郎。
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