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頭が真っ白になり、気がつけばゲンの顔面に頭突きをかましていた。
み、見てしまった。
モロに見た。
女とは違う……。
「ふっ、わあぁあああっっ!」
よろりとよろめくゲンを気遣う余裕もなく、上は下着のままソファーから立ち上がり、寝室に逃げこむ。
「ゲンの馬鹿、ゲンの馬鹿っ、ゲンの阿呆っっ!」
ベッドにうつ伏せの状態でダイブし、そのまま腕や足をばたつかせる。
うっわーっ!
確かにっ!
確かに、知らない男の裸より、ゲンの裸を見たかったと思った。
けど、うーっ、わーっ!!
あの名も知らぬ男は綺麗に頭から吹き飛び、今度はゲンの裸体が頭の中から消えてくれない。
嫌だ。
なんだか私、頭の中身が変態だ。
どうしよう。
こんなで明日、計画を実行出来るんだろうか?
フレイヤ姉様が言うには、ゲンが仕事に出掛ける前日、つまり明日なのだが、ぎりぎりだと成功しやすいらしい。
明後日……。
「ふぅ。」
ベッドに寝転がったまま、息を吐く。
剣ダコでゴツゴツした自分の手を眺める。
部屋は暗く、手の輪郭が分かる程度で良く見えない。
ゲンの手が好きだ。
私をロゼと呼ぶ低い声が好き。
側にいると自然に呼吸が出来る、その雰囲気が好き。
離れたくないのに、明後日には仕事に行ってしまう。
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