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「嗚呼、一体何処で何をどうして間違えたのだろう。」
私、ギアローゼ・アカルケットは、最近口癖となりつつあるこの言葉を、一件のデールミーズという飯屋で、カウンターに突っ伏しながら呻くように呟いた。
この飯屋の看板娘で、私の友人であるナーヤ・デールミーズは呆れた声と共に、突っ伏した私の頭の隣に果実水を差し出す。
「あんた、ここに来る度言ってて飽きないわけ? 嫌なら別れれば良いじゃない。」
サバサバと竹を割ったような性格の彼女らしく、あっけらかんとして言い放つ。
「だって、あの人以外に私に敵う人現れない気がするんだから仕方ないじゃないか!」
尚も泣き言の私に根気よく付き合ってくれる彼女。
持つべき者は友人だ。
私は常々そう思う。
「なんであんたは腕っ節を基準にするかね?」
それは仕方ない。
事をほじくり返せば、それは私が生まれた頃まで遡る。
私は今でこそ生活費を切り詰め、おかずが一品増えることに一喜一憂する生活を送ってはいるものの、元は領主の覚えもめでたい、ロックシンザー家の末娘として産まれた。
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