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「そうねー。嫌いではないと思うけど、大好きってわけでもないのよ。ただ溜まるし気持ちが良いから来るってだけで。」
「はあ、良く分からないんだが、その……。」
大好きなゲンの剣を握る手。
その手を独り占めしたいと思ってしまう。
私はいつからこんなに我が儘になったんだ?
ただ側に居たいと願っていただけなのに。
「ど、どうやったらゲンはここに来なくなるんだ?」
ゲンはここが好きなのに来て欲しくない。
なんて自分勝手で浅ましいのだろう?
フレイヤ姉様はベッドの傍に立ち、私の頬を両手で包み込むと自分に向かせた。
「ふふっ。良い顔。恋する女の顔ね。」
恋。
特別な好きの事だ。
やっぱり私、ゲンに恋をしているのか。
いまいちよく分からないのだが。
「良いこと? 恋は戦のようなものよっ!」
顔を洗い身支度を整えたナーヤと私は煩雑とした部屋でソファーに隣同士に座り、目の前で過剰な身振り手振りで話し始めたフレイヤ姉様を黙って見上げていた。
なんとなく口を挟み辛い。
「結婚したからって油断してたらあっという間に、どこぞの女に盗られたなんて良くある話。特に出稼ぎ男は外に女を作りやすいっ。」
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