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けれど、その笑顔に嫌な予感を覚える。
「ロゼ、子供の作り方を覚えたんだよな?」
「あ、ああ。」
逃げ出したい。
今までの経験からも逃げた方が良いと頭が警報を鳴らしている。
鳴らしている、のにっ。
ゲンは両手で私の顔を挟むように掴んでいて、首を左右に振ることも儘(まま)ならない。
「男のハダカ、どこまで見たんだ? 後ろ姿だけって言ってたし、前は見てねぇのか?」
ゲンの手首を握り、顔から手を退かそうと試みるが、無理だ。
「う、ん。斜め後ろから見ただけだし、女の人が密着してて前まで見えなかったし。」
「そうか。それは残念だったな。」
残念?
別に残念ではないな。
きっと見ていたなら、私の衝撃もこんなもんじゃなかっただろう。
無理、無理。
「せっかくだ。男の体も覚えとけ。」
なんだかもう、嫌な予感しかしない。
いや、予感じゃなかった。
ゲンは掴んだ私の顔をくいっと下に向けたのだ。
ギンの絵の実物版が目の前に。
…………。
…………。
ゴスッ!!
頭の痛みと共に聞こえたのはそんな音。
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