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だから、どんなことをしても、また私の元に帰って来て欲しいと願う。
なんて、浅ましい。
この感情をなんて呼ぶのだろう?
執着?
独占欲?
「恋、とか?」
散々言われたが、いまいち良く分からなかった感情。
私はゲンに恋をしているとナーヤが言っていたから、これが恋なのかもしれない。
「醜悪だな。」
嫁にしてくれと追いかけて、嫁になったというのにまだ足りないと手を伸ばす。
私はいつの間にかこんなにも貪欲で。
真面目に考え込んでいるというのに、ふと過るゲンの素っ裸。
うっ。
「ゲンの馬鹿っ!」
顔を布団に押し付け、くぐもった声で悪口を言う。
顔を上げ、窓を見ると外は真っ暗で月明かりが差し込んでいる。
眠れそうにないな。
静まり返った居間側の壁を見つめる。
ゲン、もう寝ただろうか?
いきなり見せられた事については色々言いたいが、もう少し話したい。
後少ししか一緒に居れないしな。
よしっ。
上から服を着て、足音を発てないようにドアに近寄りこっそり廊下を覗き見ると、居間の方から赤いランプの光が伸びている。
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