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「で、でも、アブスケさんが無事でなによりだよねっ、ねっ? こんな状況だけど……」
「無事ちゃうわっ! 頭ん中で“探せ探せ”うるさいねんホンマっ!!」
余計な一言だったのだろうか、それを切っ掛けにアブスケさんは怒鳴る風に言った。アブスケさんの中にも何者かが潜んでいるのだろう。取り乱してしまったアブスケさんは、そのまま勢いをつけて立ち上がった。
「何を探せ言うとんねん、こいつっ! ホンマ、いい加減にせーやっ!」
「静かにしろ」
冷静な声で言ったフィルさんの手に握られている物。黒光りした重量感のある銃口をアブスケさんの頭に押し付けて言った。
「“探せ”と言うなら探せばいい。そして誘き出して殺せばいい。死しても尚、更なる後悔を与えてやれ。理解できるな? 答えはYESしか聞かない。NOと答えれば撃つ。どうせ、操られるのがオチだからな」
「なんや、それ? 脅しかいな。なんかしら方法があるんなら、俺の返事は決まってるで?」
銃口を突き付けられているにも拘らず、アブスケさんは冷静に言った。「ジジィの仇取ったるわ」と繋げると、フィルさんはゆっくりと拳銃を降ろした。
「そうか、だったら機会を与えてやる。お前の決意を見せろ」
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