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「その呪いって誰のものなのかしらって事よ。殺された彼女の怨念だとしても、どうにも納得いかないのよね。ほら、アナタ言っていたわよね? 何かを探せって」
「せやけど、それがなんかあったんか? 犯人捜して欲しかったんちゃうんかな」
「そこよ。犯人の顔はその子達が見ているじゃない。だったら、私達をさっさと帰すべきよ。大体ね、そんなんじゃあアナタも納得できないでしょう? お父さん殺された訳だし」
目的を忘れないでよね。アサミは冷静に言った。月明かりで照らされていても、影になっているアブスケ。その表情は読み取れなくても沈んでいたであろう。許せる訳がない、納得できる訳がない。しかしアブスケは、
「そんなん分かっとるわ、だから俺はここに来たんやし。でも言うとくわ、仇取るんは復讐やない。アイツ成仏させてから、それからやろ。ちゃんと犯人も見付けて供養したる」
笑って言うのだった。しかし悲しくない訳ではないのだろう。そのアブスケの笑顔は、どことなくだが、辛そうに見えたとクルスは思った。
「ご立派ね。あんなに怯えていたくせに」
「うっさいわっ!?」
アサミは冗談交じりだったのだろう。クスクスと笑いを上げていた。この人達はどちらかと言うとよい人なのかもしれない、そうクルスが思っている頃、1人だけ表情を曇らせていた人物がいた。
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