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以前彼女に『ご両親、心配しないの?』と聞かれた時......私は『うち、厳しくないので』と答えたはず。 なのにどうして...... 一瞬戸惑いつつも、答えは一つしかなかった。 私の家に両親がいない事は、祐ちゃんと梨花にしか話していない。 祐ちゃんが、話したんだ...... 私の胸の中の何かが、一つだけ、カラン......と、音を立てて落ちてしまったような気がした。 けれど...... 「尚ちゃん、どうかした?」 「......あ、いえ、なんでも」 咄嗟に笑顔を作る。 大丈夫...... こんな事で、二人に何かがあっただなんて、決まったわけじゃない...... 弱くても、情けなくても......一人になるのが嫌な私は、必死でそう自分に言い聞かせるしかなかった。 .
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