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「......マジで、ごめん、梨花」
石田くんの真面目な声に、梨花が、キッと顔を向ける。
「今度すっぽかしたら別れるからねっ!!」
「え......」
「聞いてんのっ!?」
「わ、わかった......」
大きな身体をシュンと竦めた石田くんは、弱々しい声で言うと、コクリと頷いた。
カレーパンと牛乳を手に取り、スタスタと帰って行く梨花を、石田くんが、慌てたように追いかける。
途中、クルッと振り返った彼は、吉岡くんに向かって『ごめん』なのか『ありがとう』なのか手を合わせると、再び向こうに走って行った。
......私だったら、こんな風に、さり気なく友達を......梨花を、助ける事ができるだろうか。
きっと、オロオロするばかりで、何も役に立てない気がする。
ちょっぴり嘘つきで、優しい吉岡くんは......すごい。
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