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小走りで彼の元に向かった私は、
「ごめん祐ちゃん、遅くなって......」
少し息を切らしながら、彼を見上げた。
彼の不機嫌な顔と『遅ぇよ』という言葉を覚悟していた私に、
「帰んぞ」
一言だけ言った祐ちゃんが、タバコを揉み消し、私が今歩いて来たタクシー乗り場の方へと向かう。
......やっぱり、タクシー代を払え、って事だよね......
小さくため息をついた私は、彼の後を追い、同じタクシーに乗り込んだ。
ドサッと座席に身体を預けた彼が、ぶっきらぼうに、アパートの近くのコンビニを指定する。
以前通っていたコンビニのおじさんが言っていた、
『この先に新しくコンビニできたでしょ』
というのが、その店だった。
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