7/12
前へ
/1362ページ
次へ
二つあるレジの片方に、吉岡くんは、一人で立っていた。 隣りのレジには誰もおらず、店内を見回すと、雑誌コーナーの辺りに、もう一人の従業員が立っているのが見える。 どうしよう...... 固まったまま動けずにいた私に、 「......どうぞ」 静かに彼が言った。 「あっ......はい」 ドキドキした心臓を抱えながら、ゆっくりとレジへと進む。 腕に力を入れてカゴを持ち上げると、吉岡くんは、手を伸ばして私からカゴを取り上げ、ゴトッと目の前に置いた。 無言でカゴから商品を取り出し、打っていく彼。 ここのコンビニだったんだ...... 気付けば、彼のバイト先を聞いた事がなかった私は、無言の空気に耐えかね、思い切って口を開いた。 .
/1362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加