1572人が本棚に入れています
本棚に追加
二つあるレジの片方に、吉岡くんは、一人で立っていた。
隣りのレジには誰もおらず、店内を見回すと、雑誌コーナーの辺りに、もう一人の従業員が立っているのが見える。
どうしよう......
固まったまま動けずにいた私に、
「......どうぞ」
静かに彼が言った。
「あっ......はい」
ドキドキした心臓を抱えながら、ゆっくりとレジへと進む。
腕に力を入れてカゴを持ち上げると、吉岡くんは、手を伸ばして私からカゴを取り上げ、ゴトッと目の前に置いた。
無言でカゴから商品を取り出し、打っていく彼。
ここのコンビニだったんだ......
気付けば、彼のバイト先を聞いた事がなかった私は、無言の空気に耐えかね、思い切って口を開いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!