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「なんで広瀬がお金払うの」
「......なんで、って......」
「......」
「......」
私の手元の財布にチラッと目を向けた彼が、慣れた手つきで商品を袋に入れる。
「広瀬が飲むの、これ」
「そんなわけっ......」
「じゃあなんで」
「......」
彼の問いかけに、うまく言葉が返せなかった私は、思わずギュッと財布を握り締めた。
「彼氏なんだろ、あの人」
「......」
「なんで先に一人で帰っちゃうの」
「......」
「なんでこんなたくさんの荷物、広瀬に一人で持たせんの」
「......」
「お前、なんで彼氏の言いなりになってんの」
「......」
なんでなんで言わないで欲しい......
淡々と話す吉岡くんに、叱られているようで......責められているようで......私は俯いたまま、何も答える事ができなかった。
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