12/12
前へ
/1362ページ
次へ
「ったく、マジとれぇな、お前」 「......ごめん」 アパートに着くと、予想通り、祐ちゃんは、不機嫌な様子で私を睨んだ。 これでも、一人で荷物抱えて、頑張って歩いて来たんだよ?祐ちゃん...... そんな簡単な言葉さえ、私は彼に言えない。 「早くよこせよ」 「あっ、うん」 私は、重さで痺れた両手から袋を下ろし、缶ビールとスナック菓子を手渡した。 「残り、冷蔵庫に入れとくね?」 「......」 「......」 私の声に答えない彼。 私の目の奥を見ない彼。 『ちゃんと考えなよ?その涙の意味』 わかってる......本当は。 祐ちゃんは、とっくに私を愛していない。 私は、それでも彼の側から離れられない、自分の弱さに泣いたんだ...... .
/1362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加