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「ったく、マジとれぇな、お前」
「......ごめん」
アパートに着くと、予想通り、祐ちゃんは、不機嫌な様子で私を睨んだ。
これでも、一人で荷物抱えて、頑張って歩いて来たんだよ?祐ちゃん......
そんな簡単な言葉さえ、私は彼に言えない。
「早くよこせよ」
「あっ、うん」
私は、重さで痺れた両手から袋を下ろし、缶ビールとスナック菓子を手渡した。
「残り、冷蔵庫に入れとくね?」
「......」
「......」
私の声に答えない彼。
私の目の奥を見ない彼。
『ちゃんと考えなよ?その涙の意味』
わかってる......本当は。
祐ちゃんは、とっくに私を愛していない。
私は、それでも彼の側から離れられない、自分の弱さに泣いたんだ......
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