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吉岡くんが働くコンビニで、偶然会ったあの日以来......彼は、あの時の話題に、一切触れてこない。 翌日、色々聞かれるのではないかとビクビクしながら登校した私に、彼は、いつもと変わらず『おはよう、広瀬』と、微笑んだ。 そんな吉岡くんの優しさには感謝しつつも...... 「っていうか、さっきからなんでそっち向いてんの」 「......」 ......こんな点数だけは、絶対に教えたくない。 「広瀬」 「......」 「気になるだろ」 「......」 「勉強教えた側としては、聞く権利あると思うんだけど」 「......」 ......そうだった。 というか、私は、一生懸命数学を教えてくれた彼に対して、ものすごく失礼な点数を取ってしまったのでは...... しかも教えるだけ教えてもらって、結果報告しないのも失礼かも...... 思い直した私は、恐る恐る、吉岡くんの方に身体を向け直した。 .
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