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今から40分程前の電話で、私はここに呼び出された。 久しぶりに電話をかけて来た絵里さんは、 『祐也がね?尚ちゃんに、お酒を買ってくるように、って言ってるんだけど......』 確かにそう言った。 「あ、桃のカクテル買ってきてくれたのね?ありがとう、尚ちゃん」 ここに来る途中のスーパーで私が買って来たお酒を、絵里さんが、嬉しそうに袋から取り出す。 「あの、絵里さん......祐ちゃんが、言ったんじゃなかったんですか?私に、お酒買って来い、って......」 何がなんだかわからず、混乱していた私に、 「ううん。私が尚ちゃんに会いたかったの。ああでも言わないと、尚ちゃん来てくれないでしょう?」 絵里さんは、悪びれた様子もなく、もう一度にっこりと笑った。 .
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