1572人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、そうだ。私ね?今日は、尚ちゃんに見せたいものがあったの」
二本目のカクテルに口をつけた絵里さんが、嬉しそうに言いながら、携帯を開く。
長い爪で器用に携帯を弄った彼女は、
「どう?かわいい寝顔の彼氏に惚れ直した?」
その画面を、スッと私に向けた。
......えっ......?
目に飛び込んで来た画像に、思わず目を見開く。
彼女が私に見せたのは、自分のベットで寝ている、上半身裸の祐ちゃんの写真だった。
なに、これ......
咄嗟にパッと顔を伏せる。
「この間の飲み会の時にね?祐也、酔っ払って一人で先に眠っちゃって......その時、みんなでふざけて写真撮ったの。だから、尚ちゃんにも見せてあげたくて」
「......あの......」
「あ、写真撮った事は内緒ね?ほら、祐也って、写真撮られるの嫌いじゃない?みんなとも、内緒にしよう、って約束したの」
「......」
ホント、かな......
私が知る限り、飲み会の途中で祐ちゃんが一人で先に眠ってしまった事など、一度もない。
私は、なんだか嫌な予感を抱えながら、膝の上の拳を握った。
.
最初のコメントを投稿しよう!