11

8/11
前へ
/1362ページ
次へ
「ふふっ、早く見て?」 パタン、と携帯を閉じた絵里さんが、いつもの細いタバコに手をかける。 「......あ、じゃあ、後で......」 小さく笑みを返した私は、バックから携帯を取り出す事をしなかった。 「もう......せっかく送ってあげたのに......」 拗ねた子供のように口を尖らせている彼女を前に、 だって...... でも、私が、子供なのかな...... こっそりため息をつく。 そんな私に気付いていないかのように、クイッと私の顔を覗き込んだ絵里さんは、 「あ、ねぇ尚ちゃん。尚ちゃんって、こういう飲み会の日以外も、二人きりで祐也と会ったりしてるの?」 突然話を変えた。 「あ......はい、たまに......」 「それって......やっぱり、エッチとかもしてるわけ?」 「えっ?......あ、の......」 私が祐ちゃんに呼ばれるのは、ここ数ヶ月、お金以外の理由は、それしかない。 さらっと聞いてくる絵里さんに対して、思わず言葉に詰まってしまった私は、再びそろりと顔を伏せた。 .
/1362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加