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「ふふっ、早く見て?」
パタン、と携帯を閉じた絵里さんが、いつもの細いタバコに手をかける。
「......あ、じゃあ、後で......」
小さく笑みを返した私は、バックから携帯を取り出す事をしなかった。
「もう......せっかく送ってあげたのに......」
拗ねた子供のように口を尖らせている彼女を前に、
だって......
でも、私が、子供なのかな......
こっそりため息をつく。
そんな私に気付いていないかのように、クイッと私の顔を覗き込んだ絵里さんは、
「あ、ねぇ尚ちゃん。尚ちゃんって、こういう飲み会の日以外も、二人きりで祐也と会ったりしてるの?」
突然話を変えた。
「あ......はい、たまに......」
「それって......やっぱり、エッチとかもしてるわけ?」
「えっ?......あ、の......」
私が祐ちゃんに呼ばれるのは、ここ数ヶ月、お金以外の理由は、それしかない。
さらっと聞いてくる絵里さんに対して、思わず言葉に詰まってしまった私は、再びそろりと顔を伏せた。
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